最近はアヘッド、インテグラルヘッドなどでヘッドパーツも様変わりしています。
それでも、うちにある多くの自転車は昔ながらのヘッドパーツを使ったものがほとんどです。
今回はヘッドパーツ工具について考えてみました。


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一般的にヘッドパーツをセット、調整するのに使うのは、この手の工具が多いのではないでしょうか。
画像はシマノでサイズは32ミリ。


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MTB用だとオーバーサイズ(パイプ径が大きい物)が増えサイズが大きいスパナが
必要になったりします。画像のスパナのサイズは36-40ミリ。


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ツーリング車に使われるヘッド小物は34ミリのサイズが多いですね。
画像は輪行などに持参するスパナ。

サイズも多様ですが、もう一つ気になるのがヘッド小物の材質です。
70年代半ば頃から軽量化を意識してアルミ製の製品が増えてきました。
ヘッドパーツは緩みやすいので、しっかり締め合わせする必要があります。
そうするとアルミ製のヘッドパーツは角(かど)が変形してしまったり、最悪な場合、
なめてしまうこともありました。
まあ、変形までいかなくても、角が少しずつ傷んでくるのは悲しいものがありました。


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アルミヘッド小物の傷みを低減することを考えて見つけたのが、この工具です。
形的には「モーターレンチ」といいます。日本では一般的では有りませんが特に英国人で車や
モーターサイクルを、いじる人に使われているような気がします。
普通は当然、スチール製ですが、この画像の物は材質がアルミ製のものです。

日本での用途として配管工事の人たちに愛用者が多いようです。
水道、お風呂、トイレなどの配管でメッキが綺麗で目に付くところがありますよね。
そういった所で使われるのが、このアルミ製モーターレンチです。
理由はクロームメッキされた目に付く部分の配管に
傷をつけてはいけないのでアルミ製の工具で作業するのです。
ということはヘッドパーツのアルミ製ナットにも使えます。
配管まわりはパッキンが入っているので大トルクで締め付ける必要は、ほとんどありません。
その為、傷つけにくくアルミ製で軽量な使いやすい工具が好まれるのです。
それとサイズが大きい物も回せますので便利です。
もちろん、この工具で上ナット、下側はシマノなどのスパナを併用します。


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数年前、アメリカンブランド 「パークツール」の自転車工具カタログを見ていて思わず
「探していたのは、これだ!」と思ったのが、この工具「パーク HW-2」です。
この工具だと普通のスパナが2面しか当らないのに、このスパナだと7面にトルクが
掛かることになります。
当然、面圧が下がりアルミナットを傷めにくいはずです。
すぐに取寄せ使ってみました。


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上記のように7面に当たることでアルミ製のナットに優しく傷めにくくなりました。
また錆び付いたスチール製のナットを回す際でも安心感があります。

8面の形状も考えられますがハンドル、ステムが付いていたら使えないので完成車の場合、
使いづらくなってしまいます。


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傷めにくい理由は、このように工具の厚みにもあります。
右がシマノ製、左がパーク HW-2です。
7面と、この厚みでしっかりナットにセットできますので錆び付いたナットをはずす時にも、
なめにくく、工具も外れにくく安心感があります。
ただ、32ミリと36ミリサイズだけなのでツーリング車用の34ミリに対応できないのが
残念なところです。
あと、材質がスチール製で重量が450グラム弱と重いのが難点ですね。でも耐久性と
使い勝手(厚みによる)を考えればアルミよりスチール製でしょうね。

それから、もちろん、8各のナット専用になります。
リッチーWCSのような4角、MTBに多い6角には当然使えません。




さて、アルミ製のナットに、いい工具が見つかりましたが34ミリナットの工具で良い物が
見つかりません。
現在、34ミリを回す工具として、まあ、こんなところかな、と思っているのが、この工具です。
34ミリナットのヘッドパーツは、ほとんどスチール製なので角を傷める心配は
多少すくなりますから。


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34ミリの上ナットを回すのに使っていたのは画像3枚目の輪行用スパナと画像4枚目の
モーターレンチでした。
モンキーレンチという手も考えられますが、普通のモンキーレンチで34ミリサイズのナットと
なるとレンチ全長が300ミリぐらいの物でないと回せません(大きく重く扱いにくい)。
画像の一番下の250ミリタイプで、やっと30ミリのナットが回せる程度です。
30ミリではヘッドパーツには使えません。
(まん中の200ミリでは25ミリのナットぐらいが限度)


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ところが最近、出回っている開口部が大きい通称「デカモンキー」だと200ミリタイプで
38ミリぐらいまで回す事ができます。
(アップ画像の前の)画像の一番上のタイプがそれです。まん中の普通タイプのモンキー200ミリと
ほぼ同じ全長ですが
「あご」が大きく開き34ミリなら楽々です(最大38ミリ可)。
普通のタイプのモンキー(34ミリが回せる300ミリ)と大きさ、重量を比較すれば使いやすく
便利なことは圧倒的です。

画像はモンキーレンチで昔から有名なスウェーデンの「バーコ BAHCO」製、タイプ9031です。
バーコは最近、スナップオンの取り扱いになりましたので入手も比較的、容易になりました。
少し気になるのはアゴのサイズを調整する部分の回転が日本のモンキーレンチとは逆なことですね。
輪行スパナの肉薄で、ずれやすい工具と比べれば、このスパナの使いやすさは助かりますね。
(バーコではなくても他社から同様の製品が出ていますからホームセンターなどで入手できます)