この前の記事 「カンパハブの年式刻印」 に、ugbrotherさんから、
下記のような、ご質問をいただきました。


ugbrotherさんは非常に熱心に旧車のレストアをしてみえる方です。
(走りの方も、大いに楽しんでいらっしゃいますが)
そのようなコルサも尊敬する方からの、ご質問です。
文面だけを見れば(失礼ながら)いっけん、素人っぽい質問にも見えますが
「最適な工具の使い方を考えると」この、ご質問、コルサにとって非常に
痛い所を突かれたなと「どきっ」とさせられるものでした。
それは、なぜなのか?
今回は、この、ご質問に関して、お答えしようと思います。


[ご質問のコピー]
「ロックナットを回すのに、メガネレンチでなくモンキーを使うのはなぜですか?
 精度抜群のバーコを使えばメガネよりナットを痛めにくいのでしょうか」


「カンパハブの年式刻印」 記事
→  http://blogs.yahoo.co.jp/corsa2003sp/31537859.html


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問題?なのは、この作業ですね。

ugbrotherさんの、ご指摘どおり6角のオーバーロックナットをメガネを使わず
モンキースパナで回しています。


ここで、まずはコルサが、ハブに限らずスパナに対して、普段どういった
使い方をしているか簡単に説明させていただきます。

メガネとオープンエンド(片側空いた普通のスパナ)のスパナを、どのように使い分けるか
と言われれば、コルサは、ほとんど、どんなネジでも基本的にメガネで回します。
普通のスパナは、よほど小トルクで締まっている事が判っているか狭くてメガネが
入らない所にしか使うことはない、と言っても良いほどです。


では、なぜメガネを使うかといいますと改めて私が言うまでもないのですが

①通常のスパナが2面でしかトルクを伝えないのに比べメガネなら6面になる為、
高トルクのネジでも傷めにくい。
 (高級工具だと形状にいろいろ工夫されていて単に6面と言う以上に更になめにくい物もある)
②メガネならネジ全体を、くわえこむので、それによって、しっかり保持され工具が
斜めになるなど不用意にずれてしまう事がない(なめにくい)。

基本的には精度が良いと言われるバーコに限らず、「モンキー」は、
あまり使いたく有りません(笑)
モンキーを使うのはコッタレス抜き等の工具を使う時などが多く、
今回のように部品に対して直接使うことは、まずありません。
(コッタレス抜き、フリー抜きなど専用工具をドライブする為の二次的使用がほとんど)


では、そこまで言いながら、なぜ今回、モンキーを使っていたかと白状しますと・・・、

「理由」と言うか「言い訳」を2枚の画像で。



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カンパのハブのオーバーロックナットはフロント16ミリ、リヤ18ミリで作られています。
通常、このサイズのナット類は自転車に限らず各種機械にも滅多に使われていません。
それで、工具の手持ちがないというのが理由なんですね(非常に情けない理由 笑)

一応、スパナ類は5~15ミリぐらいは1ミリ刻みで用意していますが、
それ以上だと17、19、21㍉~ぐらいですね。
(通常、市販のスパナセットだと8-9-10-12-14-17-19-21ぐらいでしょうか)


でも、メガネがないのならソケットレンチを使うという手もあります。
ソケットなら幸いコルサの工具箱にもカンパハブに適合する16ミリと、18ミリが
入っているのですが・・・



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ではピストハブに16ミリのソケットを使ってみようとすると・・・
ピストハブの場合、シャフトが長いのでソケット奥と干渉してしまい
ナットへの「かかり」が浅くなってしまいました。

こういったときの為にロングポイントと呼ばれる、深いタイプのソケットもありますが・・・
(全長が長い分、ナットから長いネジが出ていてる、このような場合も対応出来る)
でも価格は安くはありませんので(笑)



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ちなみにロードハブの場合はQRを外せば中空シャフトはピスト用シャフトに比べ短いので
先ほどのソケットでも問題なく回す事が出来ます。
画像はカンパのロード用フロントハブをソケットレンチとハブスパナで外しているところ。
(ハブスパナのサイズは13ミリ)



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話はそれますが・・・
カンパロードハブの場合フロントは16ミリのオーバーロックナットでしたがリヤはなぜか
オーバーロックナットもハブスパナで両方とも回せるようになっています。
(サイズは、ともに14ミリ。 調整には14ミリが2本必要)



まあ、ugbrotherさんも、多分、事情は、ご存知の上で、この程度の答え
(16,18㍉のスパナがない)を有る程度予測されていたのではないでしょうか?(笑)

それでも「なにか訳があるのでは?」と期待していただいて、ご質問いただいたと
思うのですが結果は工具の手持ちがなかったという「オチ」でした(笑)



今回、ロード用も含め新品のハブを何セットもバラしてみたのですが
オーバーロックナットは、かなりのトルクで締まっていました。

モンキーでは、やはり2面しかトルクがかからないので、なめないように気をつけて
作業していても何回も調整しているうちに少しずつナットを傷めてしまいそうです。

こんなことを書いているとハブ用に「16、18㍉のメガネレンチ」が欲しくなってきました。
ハブ専用?に、16、18㍉の2本を買うのは、ちょっともったいない気もしますが
(どうせ買うなら、そこそこの製品を書いたいし、そうなれば安くはないし)
16-18ミリサイズで一本になっているメガネレンチ、できればストレート、探してみようかな?
(ストレート=スパナ部、柄の部分に曲がりがなくまっすぐのタイプ)
でも有ったら、すぐに買ってしまいそうです(笑)



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前回の記事で、ご紹介したハブバイスですが、このようにホイールをセットすれば
片側のシャフトが完全に固定されているので非常に楽に玉当りを調整する事が出来ます。

難点としては
①この状態でリム外周を揺すればガタのあるなしがはっきり判るのですが
 逆に非常にわずかなガタでも感じられてしまうので完璧だと思ってバイスから外して
 両手で回してみると思っていた以上に、きつめになっている事が多いのです。


②ピストハブではシャフト部分を長くバイスで固定出来るので、ほとんど問題にはなりませんが
 ロードの中空シャフトの場合、数ミリしかバイスで固定できないので長期間、使用していると 
 バイスが磨耗してきます。
 (画像の状態でリム外周部に力を加えガタをみる動作はバイスに、かなり負荷がかかる)