シクロジャンブルにK上さんが、面白い自転車を持込んでいました。

一見しただけではマニアでも気がつかない、
聞けば聞くほど、ネタがいっぱい!な、この自転車を、今回は、ご紹介させていただきます。



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一見したところ、リヤエンドがロードエンドなので古いロードフレームを
シングルスピードにカスタムしただけのものに思えますが・・・
(実はいろいろ手の込んだ工作が部品、フレームにされています)



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ところがフロントハブを、よーく見てみると!?
フロントハブの左側にも固定ギヤがついていますよ??

「こ、こっ、これは、なぜでしょう」



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そういえばダウンチューブには「TRIPLE COG」と書かれています。

そうなんです、この自転車、リヤに2枚、フロントに1枚、
合計3枚のギヤが付いているのです!



なんでも仲間内の遊びで古い自転車や古い変速機を装備した自転車でタイムトライアルを
行うイベントがあり、その為に作った自転車なのだそうです。

周回コースで行い一周に一度は必ず変速しなければならず、また変速機の種類などで
ハンディが設けられているそうです。

K上さんは、この自転車でホイールを入替えてチェンジすると言う方法を
選んだわけです(それなりのタイムハンディがもらえるらしい)

それにしても固定ギヤを入替えて走るという、いにしえのレースを思い出させる
自転車を選んだセンスには脱帽ですね。
(ちなみにそのイベント 通称カンパ ロッド式変速機などが参加するようです)



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普通ならWコグというピストハブを使って左右に2枚のギヤをいれ、それを差換えて
走るという方法ですが、フロントホイールにもギヤを一枚付けて走る
(もちろんリヤに入替え可能)と言う発想に思わず唸ってしまいます。


「ピスト用には片側2枚ずつの固定ギヤが付くハブがあるから、 それを使えば
 後輪だけで計4枚のギヤが付くよ」
なんてことは、けっして、ここで口に出してはいけません(笑)

素直に、この自転車を作ったK上さんセンスとアイディアを尊敬、賞賛しましょう。



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再度、フロントハブの画像を見てみることにしましょう。

少し古い部品に詳しい方なら
「カンパのハイローハブをベースにしたフロントハブだね」
と言われるかと思います。

私もそう思ったのですが、それは「大間違い!!」で、凄い話が隠されていたのです(笑)

良く見るとカンパハブに「RECORD」の文字が見られません、レコードの刻印がないとしたら
凄く古いハブだと言うことになります。

実は・・・片側のフランジが千切れてしまった古いラージハブを改造した物なのだそうです!!

奥のラージフランジが、もともとの物で千切れてしまった手前側のフランジを整形し
アルミを盛ったのち再度、整形しスモールフランジを作ってあるのだそうです!!!
さすが「溶接の天才」と言われるK上さんならではの技です。

その為、良く見ると奥のラージフランジは18H(36H)でスモールフランジ側は
12Hになっています。
18H側は3穴に1穴飛ばして(18H÷3=6   18-6=12H)として
24穴のリムで組んでいます。



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もう一度、後ろハブの画像を見直してください。

後輪も36Hのハブでスポークが3穴に1穴、飛ばして組んである事がお判りになると思います。
(36H÷3=12   36H-12=24H)


さて、このハブにも秘密が隠されていました。
実はこのハブ、もともとは片側にしかギヤが付かない、ごく普通のロードハブだったのだそうです。

それを、なんとフリーネジの反対側にもネジ切り加工してギヤを取付けられるようにして
あるのだそうです!!!
でもピストハブではないのにロックリングが付いていますよね、なぜでしょう?

これはロードハブに固定ギヤを付ける時の裏ワザでBBの左ロックリングを使うのです。

固定ギヤにも穴あけしてアクセントが付けられています。


また見る人が見れば判りますがスポークの組み方が3枚のギヤ、どれを駆動に
使っても良いよう(方向が合う)に組まれている事が判ります。



さて、大事なネタが残っていますよね。

前後の車輪が入替え出来るように加工されているのですから。

その方法は・・・

①フロントフォークエンド幅を110ミリに広げる。

②リヤエンド幅を110ミリに狭くする。

③車輪を入替えた時にエンドの厚みが違うと面倒なので薄かったフロントエンドの側面に
 金属板を溶接して前後のエンドの厚みを一緒にする。

④ハブのロックナット寸法を両方とも110ミリに調整する(もともと両方ともリヤハブだった)

⑤フロントエンドのミゾ幅をリヤハブシャフトに合わせて広げる(削る)。


ざっとあげただけでも、このくらいの加工が必要なはずです。

大変な作業ですね!!!!



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フレームはメーカー不明の貰い物だそうです。

リヤのブレーキワイヤ内蔵は今回追加した工作だそうで、きれいに内蔵されています。
微妙な色合いのフレームカラーもいいですし金線引きも、お洒落ですね。



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このハンドルは、ご存知ですか?

これはメーカーで穴明け加工された物なんですよ。
クスキと言う会社の「ホールウィンピスタ」と言う製品です。
軽量化ブームの70年代半ばに短期間、販売された製品です。
(エディ メルクスのタイムトライアル車に施された加工に影響を受けたのでしょう)


このハンドルがアッセンブルされバーテープが巻かれていないのにも、ちゃんと理由がありました。
別に穴明きハンドルをアピールする為にバーテープを巻いていないのではありません。

それは・・・固定ギヤを入替える際、チェンにさわるので、どうしても手が汚れてしまいます。
その手でバーテープを、さわれば汚れが付いて、きたなくなってしまいます。

それでは、バーテープを巻かない前提で・・・
油で汚れた手で少しでも滑りにくいハンドルと言えば・・・
この穴明きハンドルなら穴空き部分が少しは抵抗(摩擦)になって滑りにくいのでは?
と言うのが、このハンドルを選んだ理由だそうです。

「K上さん」、本当に、恐れ入りました(笑)


※ピストフレームをベースにブレーキなどを付けられるようにした物がピストロードなのか
 ロードフレームをベースに固定ギヤで乗れるようにしたものがピストロードなのか?
 意見の分かれるところですが・・・今回はピストロードとしました。