古典ピスト シルク その3では、
TY-SILKさんからリクエスト?いただいたのでリムを取上げます。



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以前も書いたとおり、このシルク ピストは木リムを使っていました。



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右が前輪、左が後輪です。
左は残念ながらリムを一ヶ所、折損しています。

前後輪を見比べると、何かお気付きになりませんか?
そうなんです、前後のスポークの本数が違います。

現在の競輪は前後とも36穴(スポーク本数)しか許可されていません。
ところが、このホイールは前輪が32穴、後輪が40穴になっています。
この組み合わせは英国規格らしいのです。
古い英国車をみると、時々、このスポーク本数の自転車を見かける事があります。
(日本の自転車の規格は多くの部分でイギリスの規格に共通点があるらしい)

荷重割合が多い上に駆動力もかかる後輪のほうがフロントに比べ
スポーク本数が多いのは理にかなっている気もします。
ただ、当時(詳細な年代は不明ですが)の競輪において、これがスタンダードで
あったかどうかはわかりません。



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形状を見ると古いアルミリムのような平板なリムではなく綺麗な形状に
盛り上がっているのがわかるでしょうか?
アラヤのエアロリム(ADX-1など)に極めて近い形状をしています。

また、スポーク穴の向きが微妙に左右に振り分けられて穴が
明けられているのがわかります。



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昔読んだニューサイクリング誌に「フランス製三段巻き木リム」といったような
表現があったような気がしますが、このリムも三段に分けて木材が積層されているのがわかります。
(残念ながら接着がはがれて、しまっていますが)



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三段に積層された木材は各段ごとに丸く作られ、どこかで継いであるはずだと思うのですが、
その場所が良くわからないほど綺麗に作られています。
画像の部分は2段目(三段のうちのまん中の段)が画像中央に斜めの線が
入っているように見えます。
ここが2段目の継いである部分なのでしょうか?



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バルブ部分は、穴が明けられているだけです。



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タイヤ側を見てみましょう。
ここは折損部分でスポークがはずしてあるのでスポーク穴が観察しやすくなっています。
木材にわずかに凹みが加工されニップルが出っ張らないように工夫されています。



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ニップルです。
木リムは金属リムのように薄く仕上げられないのでニップルが、
かなり長く作られているのがわかります。

またニップルが抜けたり木材に食い込まないようにワッシャーが入れられて組まれていました。
これは軽量なアルミリムでスポーク穴にハトメが打たれていない物には同じ手法が行われていました。

ちなみに、このホイールに使われていたスポークはニップル側、ハブ側ともに
中央部分より太くなっている段付きスポークが使われていました。



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折損部分のアップ。
木リムで、エアロリムのような断面形状、40穴ということで、代わりは、
なかなか見つかるものではありません。
(あったら譲ってください。 笑)
そこで、オーナーの手によって接着して修復が行われていますが・・・・
残念ながら接着がはがれてきてしまっていますね。



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今回、木リムを取上げましたので次回はハブ、そして固定ギヤを取上げてみたいと思っています。
とりあえず、ガレージにあった同型のフロントハブを数点、
引っ張り出して比較してみましたが・・・少々違いが?

「つづく」