先日、KTCの自転車工具について書きました。

http://blogs.yahoo.co.jp/corsa2003sp/34556104.html

http://blogs.yahoo.co.jp/corsa2003sp/34540167.html


今回は上記の記事の中でも触れたペダルレンチについて、
更に書いて見たいと思います。


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今回の記事に出てくる3種類のペダルレンチです。

一番下が以前記事に書いたKTCの薄口コンビネーションスパナ。
ただし、メーカーでは「自転車の車輪の脱着に便利」などと書いていますが
ペダルレンチとは書かれていません。念の為(笑)
でも、これはどう見てもペダルレンチ、そうでなくても
ペダルレンチとして非常に便利に出来ています(笑)


まん中が、私が長いことペダルレンチとして使用してきたシマノの3点工具の中の一点。
この長さが便利でしたが長いこと使っているとスパナ部分がヘタって来るのも事実です。
ちなみに私のは2本目で更に予備として1本用意しています。
(ヘタリについては後で補足します)

一番上の、ごついのがパークツールのPW-4です。
私は、これを現在、最強、最高のペダルレンチだと思っています。
(大きく重いと言う欠点もありますが頑丈なこと、便利なことを優先、総合して)


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パークツール、PW-4。
これを初めてカタログで見た時は、ごつさよりも、そのアイディアに「やられた」と思いました。
というのは、この考え方は自分がず、っと暖めてきたものと同じだったからなのです。

「そのアイディア・・・」と聞いてピンと来る方は自転車ペダルの脱着について
(特に固くしまったペダルを外す際)深く考えた事がある方でしょう。
そのポイントは後で書くとして、この代表的な3点を比較して見ましょう。

まずは全長。
ここで書くのはあくまでも全長で力点、作用点の長さではありません。
パークPW-4  400ミリ
シマノ      305ミリ
KTC       240ミリ
全長は以上のようになります。
パークの400ミリの全長は長すぎる?ともいえますが固くしまって外れない
中古車などのペダルを、どうしても外したいプロショップやレストアが多い人には
力強い味方となるでしょう。

重量は、どうでしょうか?
パークPW-4  624g
シマノ      256g
KTC       108g
全長も長いのですが、やはりプロショップの最強ペダルレンチとして頑丈な作りのパークは、
かなり重たくなってしまっています。
シマノは長さの割に軽く仕上がっています。
シンプルな板状の形状が、この軽さの最大原因でしょう。
KTCは一般工業用のスパナと比較して薄く仕上げてありますから、軽量です。

スパナ部分の厚さを比較して見ます。
パークPW-4  4.74ミリほど。
シマノ      3.95ミリほど。
KTC       4.38ミリほど。
パークとKTCは4ミリを越える厚さがありますがシマノは4ミリを下回っています。
この薄さが先ほども書いたとおり軽量に仕上がっている要因でしょう。
ただ、先にも書いたとおり私も経験がありますがシマノは長いこと使っていると
スパナ部分がヘタってくる原因でもあるのでしょう。
ただ、すぐにヘタってしまってくるわけではありません。
反対面でBB右ワンを回すという構造上(設計)もありますし、むやみに厚くして重くなるのも
使いづらくなってしまうでしょう。
ですから、これはこれで寿命と使いやすさの(コスト?)バランスが
取れていたのではないかと思います。

シマノが手本としたと思われる同型のカンパは長く使った場合、
シマノと同様にヘタリが出るのか興味深いところではあります。


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最初に書いた、このアイディアについて。
ヘッドに切ってあるレンチ部分は左右とも同じ15ミリ用です。
そして、アイディアの大事な部分は、これが同じ角度ではなく「30度と45度と違いを設けてある」
ことなのです。
この角度が、どのようなメリットなのか次の4枚の画像によって見てみましょう。


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ペダルシャフトは一般的な2面の物を固定して撮影しています。
ペダルレンチはシャフトの左側(→)から差し込んでいます。


レンチ部分に30度と45度と違いを設けてあることにより
下記の画像のように左右、裏表と入替えることによって、このようにレンチ先端を
左から差し込むと限定しても(右側からの画像は今回なし)これだけ違う
4方向(ハンドル部分の各方向に注目)から力を入れる事が出来ます。


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KTCのサイクルツールシリーズにはショップ用と思われるペダルレンチが用意されています。
(奥の2本。手前はトルクレンチと合わせて使用するもの)

なぜ、2本用意されているのか?・・・・
それは、もちろん「レンチ先端部分の角度に違いがある」からなのです。

後発ながら工具メーカーとしてのプライドがパークのPW-4の「ものマネ」は出来なかったのでしょう。
でも、「角度の違う2種類の組合せのメリットが無視できない」ことが、
この2本を用意することになったと思われます。
したがって、このKTCのペダルレンチを買う場合、「どちらか一本を買う」のではなく
「角度の違う2本をセットで買う」のが本来の考え方でしょう。

ちなみにKTCの、この2本の先端角度は22.3度と67.3度という角度だそうです。
パークPW-4の角度は30度と45度・・・、この関連がありそうな、なさそうな違い・・・
KTCは意識にあったのでしょうか?
それとも独自に使いやすいと思われる角度を研究したのでしょうか?


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最後に、どうでも良い話・・・・
初めに、
「これを(パークPW-4)初めてカタログで見た時は、ごつさよりも、
そのアイディアに「やられた」と思いました」
と書きました。

その理由は・・・一応、私も学生の頃から角度の違うペダルレンチが有った方が
ペダルを脱着しやすいと考えていたのです。
(当時、主流の2面しかないシャフトを対象とした場合、特に)
その頃(70年代後半)考えていた物に近いのが上のスパナの画像なのです。

この画像はKTCの高級バージョン、ネプロスシリーズの「アングルヘッドスパナ」といいます。
※(この製品はサイクルシリーズではないので肉厚が有り15ミリがあったとしても
  ペダルスパナには向きません)
左右のサイズは同一になっています。
左右のサイズが同一になっていますが左右の先端角度(30度と60度)は違います。
このスパナの狙いは延々と書いてきたペダルレンチの角度の違いによるメリットとほぼ同じです。
スパナの左右、表裏を入替えることによって「4方向からネジ、ナットを回す事ができる」
のが狙いなのです。
これによって狭いところでスパナを大きく動かせない場所でメリットがあるのです。

このスパナは狭くて大きく動かせないところでいろいろな角度からネジにアプローチできると言う
狙いですが、この設計でペダルレンチを作れば、いろいろな角度からペダルにアプローチできると
言うわけなのです。
その考え方を2本一組で実現したのがKTCのペダルレンチ、一本の一端で実現したのが
パークPW-4なのです。