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今回、ご紹介するのはスギノ プロダイナミック コッタレスクランクに取り付けられた
トリプルギヤです。
ちなみに歯数は48-40-28Tになります。

当時は、あまり興味を持ちませんでしたが今、こうしてみると、
なかなかメカニカル?で力強く、その造形に惹かれてしまいます(笑)
(このCWを中心に当時の国産部品で何か一台組みたくなってしまう・・・)

ぱっと見「ああ、プロダイのトリプルなんだね」と言われる方が多いかと思いますが・・・
実はこのトリプル、たとえばTAシクロツーリストのトリプルなどのような簡単な
構造ではないことを、ご存知の方は意外に少ないのではないでしょうか?
(逆に言えばTAはシンプルな構造で26Tから組める優れた設計だと言うこと)

前回の記事で「TA ツーリストに、そっくりのプロダイナミック6(Pパターン)」を
ご紹介した際の文章を下記にそのままコピーしましょう。



※従来のTパターン、CパターンともPCDの関係で最小インナーが32Tどまりの為で
はないかと思います。
  Pパターンは最小26Tまで取り付けることができ、
  30T、28T、26Tの歯数が用意されていました。(偶数歯のみ)



今回のトリプル(Cパターン)は最小インナー28Tが付いているのですが・・・
そうすると上記の文章とは矛盾が生じてしまいます。
その種明かしをしていきましょう。

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TA ツーリストに、そっくりのプロダイナミック6(Pパターン)ギヤ板を
製造販売する前にスギノが従来のTパターン、Cパターンアウターギヤ板(ともに最小歯数は32T)に
最小歯数28Tを付けられるよう考え出されたのが、このアダプター。

下側の画像をよく見ると内側に円形状のヘコミがついています。
これには重要な意味があるのが、このあと判ってくるはずです。
(画像は裏表、微妙な違いがあります)

私は以前、このアダプターを見つけ何気なく入手しておきました。
ただ、このアダプターと28Tのギヤ板が有っても簡単には取り付けることが出来ないのです。

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ここで中心近くの裏表のアップ画像。
この時点では、28Tギヤ用アダプターの、特殊性があまり判らないかもしれません。

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とりあえず、展開してみましょう。
クランクとアウターギヤ、28Tアダプターは5ピンで共締めされています。
アダプターにある円形の、へこみにクランクの短いアーム?が入る設計です。
(アダプターの「へこみ」は、この為の物だったんですね)
今回、記事の最初の画像の完成状態のチェンホイールからの分解は外側の
3ピンをはずし、
次に5ピンを、はずさないとクランクとギヤ類を分離できません。

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アウターとクランクをはずしたインナー+センター+28Tアダプターの裏表。
アウターとセンターの間に比較的、大径のスペーサーが使われていることと、
その内側に28Tを付ける為に特殊な頭(小判型?)のネジが使われていることがわかります。

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インナーを固定する特殊な小判型の頭を持つネジは他と干渉しないよう非常に薄く作られています。
スパナで慎重に作業するしかありませんが他と接触してスパナに角度が付いてしまうので
薄い頭のネジをなめてしまいそうです。
スパナを曲げるなどして専用工具を作りたいところですが・・・
滅多に作業することはありませんしね(笑)
(当時、専用工具は用意されていたのでしょうか?)

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小判型の薄ネジの反対側は、こんなネジですから大きなマイナスドライバーで回すぐらいしか
手がありませんが、ただ、こちらもなめそうですね。

もうひとつ、この画像には特殊なネジが写っています。
クランクを留める5ピンですが28Tギヤ(スペーサー)に干渉しないよう六角の一面が
カットされ五角形になっています。

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センター+28Tアダプターからインナーギヤをはずしてみると、ここにも
スペーサーが入っています。
この画像だけ見るとスペーサーの内径が大径過ぎるように感じますが、
これはギヤ固定の雌ネジが入るためです。

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トリプルギヤ板完成状態ですが・・・
この状態まで組み上げてしまうとクランクは取り付け不可能なのです。
くどいようですが、もう一度、ご説明するとアウターとアダプターの隙間にクランクの
短いアームが挟み込まれる設計なので、この状態ではクランクを組みつけられません。
組み付けるには、今回の6枚目の画像まで分解しなければなりません。

以上のように28Tアダプターには28Tのギヤ板(当然ですね)以外にも特殊なネジ、
スペーサーが必要な上に組み付けがとても複雑、普通の工具ではネジも必要なトルクまで
なかなか締め付けることが出来ないのです。
(コツと工夫が必要だと思います)

アウター、センターをそのまま使い+28Tを付けられるようにする・・・
その為に、よく考えたものだとは思いますが、やはり部品類のコストと組み付けの煩雑さが
ショップさんやユーザーに受け入れられず
(複雑なチェーンホイールの組み付けに当時、ショップさんを悩ましたと聞きます)
結局、あまり支持されなかったのではないでしょうか。

その為、結局はTAツーリスト、そっくりのプロダイナミック6(PROD-6)(パターンP)
を販売することになったのではないでしょうか?

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※追記2013/4/26
関西のYさんからご指摘いただきました。
添付画像(トモダ ワールドパーツカタログ1969年発行)に
28Tアダプター+28Tギヤ+マキシィギヤのチェンホイール及び、それを用いた完成車の
画像が掲載されていました。
また改めて手持ちのカタログなどを確認するとトモダ ワールドパーツ76にも
28Tアダプター+28Tギヤ+マキシィギヤのトリプルリングの画像が載っていました。
メーカー画像ではないものの大規模販売店のトモダさんのカタログですから信頼性は
間違いなく、この使い方も正規であったということにお詫びして訂正させていただきます。
また、シャフトに関しても69年発行のカタログに
「コッターレスシャフト プロダイ S.W.T.」とあることから「S」(シングル)シャフト
が存在していた可能性があります。

最後に本来の使い方ではない28Tアダプター使用法の一例。
アダプターのアーム長は、マキシィ系のギヤ板に適合するので・・・
このようにアダプターに直接、マキシィ系のギヤ板を取り付けることが出来ます。
(アーム先端の3ピンのみ使用)
そして、このまま5ピンクランクに取り付ければ
「マキシィ系のギヤ板+アダプター+プロダイナミッククランク」
と言う組み合わせで使用できるでしょう。
もちろん、スペーサーの厚みなどを調整すればダブル、トリプルの使用も可能?。
ただ、使えると言うだけで、わざわざ、このような組み合わせに需要があるとは思えませんけど(笑)

そして、もうひとつ先ほどは(アーム先端の3ピンのみ使用)で考えましたが
内側の3ピン位置を使えば28Tのギヤ板が取り付けられるのでは・・・
アーム長の外側3ピンと内側の3ピンと部品点数の増加とデザイン的にも、うるさくなるし
内側3品にはスペーサーもネジも長い物がいるのでしょうけど・・・
まあ、これは考えるだけにしておきましょう。
(説明がわかりにくくてすみません。まあ無視してくださっても)


※当方の間違いなど、お気づきの点がございましたらご指摘いただければと思います。
※次回は、また違うアダプターのお話です。(以前にも記事に書いたけど)