※「その1」からずいぶん時間がたってしまってすみません。

今となっては「旧型」マイティツアーと書かないといけませんが、
数回にわたって杉野マイティツアー クランク(チェーンホイール)について見ています。

●当方の間違いなど、お気づきの点がございましたら遠慮なくご指摘ください。
もちろんの情報の御連絡大歓迎です。よろしくお願いいたします。



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その1でもご紹介しましたが今回のサンプル画像を再度、アップしておきます。
右から左へ171ミリ、165ミリ、168ミリになっています。

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今回のサンプルの入手状況と元箱について。
171ミリはダブルのギヤ板が付いた状態(未使用)でネットオークションで
落札しました。
箱は古いマイティコンペの大きな箱が付属していましたが当然、
元箱ではないでしょう。
(マジックインキでマイティツアーと書かれていた)

168ミリと165ミリはクランクのみ
(ギヤ板、BBなし。5ピン、クランクキャップは付属)
で元箱と思われる箱に入った状態(もちろん未使用品)でショップさんの
倉庫で見つけました。
左が168ミリが入っていた元箱、右が165ミリのクランクが入っていた
懐かしいイラストの箱。
右のイラストの方が古く左の通称、銀箱の方が新しい物です。


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箱の側面の表示を見てみましょう。
下の「イラスト箱」には「MODEL MTD」、「LENGTH 165㎜」、
上の「銀箱」には同じく「MODEL MTD」、「LENGTH 168㎜」と書かれています。

上の銀箱が、かつて「幻の?168㎜クランク」といわれたモデルの
元箱に間違いないことがわかります。

ところで、ここでみなさん疑問がわきませんか?
「MTD」って?「MT」はMIGHTY TOURの略ですが「D」は何を表しているのでしょうか?
「Dはダブルだよ」という声が聞こえてきそうですが・・・
これはクランクのみなので普通ならトリプルもダブルもないはず。
(クランクにもトリプル、ダブルの違いがある???は後で書きます。)

実は70年代のカタログにはダブルチェンホイールは「MTD」、
トリプルチェンホイールは「MTT」と二つのモデルが画像で載っています。
(これはギヤ板をセットした状態なので当たり前のことですね)
そして80年代初期と思われるカタログぐらいになるとトリプルモデルは
姿を消してしまいダブルモデルのみが「MTD」というモデル名で
載るようになっています。
余談ですがスーパーマキシィもダブルのみになりトリプルモデルは
5ピンのプロダイナミック、PXあるいは初期のMTB系モデルに
移行していったようです。


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●マイティツアー初期のダブル、トリプルは専用クランクだったのか?●

さて、元箱の表示でクランクのみの箱なのに「MTD」(マイティツアーダブル)
の表示はおかしいんじゃないの?と書きました。
ただ、同じく書いたように82年頃のカタログにはマイティツアーのトリプルは
消滅しダブルモデルのみが「MTD」と表示されているのですから、
そのクランクのみが「MTD」と表示されていても、おかしくないのではと
思われるかもしれません。
しかし、「マイティツアーのクランクにはトリプル用とダブル用それぞれに
専用モデルが用意されていた可能性があるのでは?」と私は思っています。
それが上の画像です。
右から171、165、168ミリクランクのギヤ板取り付け部分なのですが・・・
あきらかに右端の171ミリクランクのギヤ板取り付け部分が厚いのが
お分かりになるかと思います。
右から数値を書きますと5.07、3.58、3.58㎜となります。
右端のクランク(1973年製)のみが1ミリ以上厚く(ほぼ1.5㎜も)なっていることがわかります。
ちなみにシルクキャンピングについていて「トリプルギヤが組み込まれていた
スーパーマキシィは厚さ3.75mm」でMTDの元箱に入っていたマイティクランクに
近い数値となっています。


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実は、これと同じような状況を以前確認しています。
上の画像は杉野の3アームクランク、マキシィⅡのギヤ板取り付け部分。
はっきりと厚いものと薄いものがあります。
この厚い方がトリプル用で(箱にマジックペンで「T」と書いてあった)
薄い方がダブル用なのだそうです。
それを裏付けるのが次の画像。


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この画像は古いトモダさんのカタログ(No.1 1976年)にあるイラストです。
ダブル、トリプルのギヤ板の組み方が解説されています。
ダブルのインナー、トリプルのセンターギヤの向きに注目してください。
ダブルとトリプルで組む際には各々、インナー、センターのギヤ板の向きが
違うことがわかります。
「ギヤ板の厚みの中心にギヤ歯の先端が来るようには作られておらず」
中心からオフセットして作られているので「ギヤ板の向きによってギヤ歯の
先端の位置が変わる」ことになります。
これに対応してクランクのギヤ板取り付け部分の厚みがトリプルと、
ダブルで作り分けられていたということです。
クランクをダブル、トリプル2種類作るのはコストを考えると得策ではなくほかに
方法があったのでは・・・でもそうなると・・・


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マイティツアーの右クランクもダブルとトリプルと、それぞれ専用設計かも?
と考えて1976年頃のカタログの部品表を見てみます。
(上の枠がダブルMTD、下の枠がトリプルMTTの部品表)
残念ながらクランクの品番はダブルしかありませんでした。
(トリプルも同じモデルということ)


BBシャフトやギヤ板固定ボルトなどがトリプル専用というのは当たり前ですが・・・
思わぬことが。
なんとギヤ板すべてにダブルとトリプルとでは別の部品番号がついているのです。
同じギヤ板ならクランクと同じで違う品番にする必要はないはず。
ギヤ板はダブルとトリプルと別物って言うこと???
まあ、すべての歯数が別設計ということは考えられないので・・・


となるとクランクの歯数取り付け部分の厚みの違いはなぜ?
①初期モデルはダブルとトリプルがマキシィⅡと同じくクランクが別設計だった?
②初期モデルはダブルとトリプルと違いはなく取り付け部分の厚みが厚く作られていた?
謎は深まるばかり(笑)

※つづく