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MOMサンツアーミーティングでT氏にいただいたアルミスプロケット。

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ほとんどの参加者は、このようなピスト用よりも更に厚みのある
ギヤに首をかしげていたのでした。

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でも、私には、このスプロケットの作りに見覚え、心当たりがありました。
(肉抜き穴だけではなく、この厚みの意味についても)

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それが、これです。
歯数はまるで違うけど穴あけなど、よく似ているでしょう?
ただ、歯先の部分の厚みがまるで違います。

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よく似たスプロケットのつくりを持つフリーホイールがこれ。
70年代前半のサンツアーウイナーフリーです。

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では、なぜこんなに厚みがあるのかを検証してみましょう。

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これがウイナーフリー5段を見たところ。
特に見ていただきたいのは左側(ロー側)の2枚。
まずは、一番大きなギヤ。
あけられた穴が、このように見えるということは・・・
この部分に傾斜が、かなりついていることがわかります。
そして左の2枚の間にスペーサーらしいものが見えないことが
お分かりになるでしょうか?

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これが分解したところ。
一枚だけ(トップギヤ部分)薄いスペーサーが使われていますが他に一枚も
スペーサーがないことがわかります。
実は、このアルミ製スプロケット、スペーサーもスプロケットと一体に
なって削り出されているのです。

特に歯数の大きいロー側はアルミスプロケットを鉄製スプロケットと同じような
板状にするのには強度的な不安もあり、このような設計になっているのでしょう。
その為、ローギヤは中心に向かうにつれ肉厚がかなり厚くなっており、
アルミ製スプロケットでありながら、あまり軽量ではないのです。

のちに作られたマイクロライト軽量フリーはこの辺りの経験も、活かして
材質を吟味、また設計に工夫をし軽量性を突き詰めたのだと思われます。

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これは、いただいた加工中のスプロケット、フリーから外したスプロケットも
中心部分は同じと言ってよい厚みでした。

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更にこのような加工を加えたり歯先に向かって肉厚をそぎ落としていく行程を
経てウイナーのスプロケットとして
完成するのでしょう。

それにしても手持ちのウイナーは5速で最大スプロケットは
当時のロードの標準、21T。
今回いただいた未完成のウイナースプロケットの歯数は24T。
使えるものなら使いたい。
でも、残念ながら素人の加工で使えるようには出来そうにもなく(泣)

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このウイナーフリーはウイナーS(スプロケットも鉄)とボディは
共通で鉄製です。
このフリーをよく観察するとフリーボディを組み上げたり分解する際に使う、
いわゆる「カニ目」がないことがわかります。
これは、どのような設計になっているのでしょうか?

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実は、このフリー、独特な設計になっています。
一番下側が別部品になっていることがわかるかと思います。
この部分をねじ込む(逆ネジ)ことによって玉当たりを調整するように
なっています。
このままでは簡単に緩んでしまいますがスプロケットを組み込んで
テンションが掛かるとあたりが変化しないようになっています。
ですからスプロケットが組み込まれたままではフリーボディの玉当たりを
調整するのは難しい構造です。

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スプロケットがない状態では手で簡単に分解出来ます。
分解してみると、こんな感じ。

今回のサンプルの「ウイナー」は5速で、この後、6速ボディが追加されます。
しかし、間もなく5速の幅で6速が組み込めるウルトラ6、
そしてニューウイナーの名前を持つ意欲作が登場します。
ニューウイナーは1種類のボディで5速スタンダード、6速スタンダード、
6速ウルトラ(ナロー幅)、7速ウルトラ(ナロー幅)と組み上げることが可能でした。
(ただし、膨大なスプロケットの種類、スペーサーの組み合わせに苦労することにもなる)
このニューウイナーの登場に今回のサンプル、「ウイナー」は役目を終え消えていくのでした。