この記事では皆さんがあまり接することのないと思われる通称、ブロックタイプという
駆動系を見ていきます。

その1では
「通称ブロックタイプといってもブロックタイプだけではなくローラー式もある」
ということを検証したのですが名称は、やはり、比較的浸透していて、
なじみ深いと思われる「ブロックタイプ」のままで進めていきます。
(※私の間違いなどお気づきの点がございましたら遠慮なくご指摘ください)


以前の記事で・・・下記のように書きました。
今回はその中でも①について見ていきたいと思います。




この駆動系、ほとんど実物を見たことがない人が多いせいか
①普通のギヤから一つごとに歯を削ったものとか、
②だから偶数歯数しかないとか、
③外国製品しかないとか、
あるいは通称がブロックタイプと呼ばれるように
④ブロックタイプのチェーンしかない、とか、
良く言われますが①~④み~んな間違いです。




イメージ 1

ブロックタイプのギヤ板と普通のピスト用ギヤ板の比較です。
もちろん手前がブロックタイプ(カンパ製)、
奥が通常のピスト用ギヤ板(杉野製)です。

こうやってみると・・・・
たしかに奥の通常のギヤ板から、ひとつおきにギヤ歯を取り除いた
だけのように見えます。

ここでサイズ表示を振り返ってみましょう。
通常のピスト用のサイズ表示は1/2×1/8ですね。
ブロックタイプは1×3/16というサイズになります。
前半がチェーンの長さ方向の表示ですからブロックタイプは1インチに
一つギヤ歯があるということになります。
そこで普通のピスト用ギヤ板の表示を見てみると1/2でしたよね。
ということは普通のピスト用ギヤ板は1インチ(25.4㎜)に二つのギヤ歯が
あるということになります。
「そうなら、やっぱり、ブロックタイプは二つのうちの一つのギヤ板を取り除いたものか?」
という声が聞こえてきそうですが、ここでは結論を出さず次に進んでみたいと思います。

イメージ 2

方向を変えてギヤ板の厚みを見ていただくと違いは一目瞭然。
右から多段ギヤ用の3/32、
中央が競輪選手などが使っている1/8のサイズ、
左のブロックタイプは3/16というサイズで
厚みが、こんなに違うのです。

「なるほど、横から見てもわからないけど厚みがこんなに違うんだ」
と、納得していただけるでしょうか?

でも、ここで、
「ブロックタイプの駆動系について、その1」についてよく読んでいただいた方は
「ブロックタイプチェーンにも厚さが1/8のものがあると書いていたではないか?」
「そちらは(ブロックタイプの1/8ミリ幅)、どうなのか?」
と言われる方が見えるかもしれません。

おっしゃる通りです。
残念ながら1/8サイズのブロックタイプのチェーン、チェーンリングは手持ちが
ありませんが1/8サイズのリヤの小ギヤのサンプルが手元にあります。
「同じ1/8幅であるのならブロックタイプの小ギヤは通常のピスト用チェーンで使えるのではないか?」
という考えがわいてきます。

それが出来るのであれば・・・
普通のピスト用チェーンを使って1/8サイズの小ギヤを使い通常のピスト用ギヤ板から
一つごとに歯先を削り取ればという方法もありそうです。
そこで、試してみると「残念ながら使えません」

それは、なぜでしょうか?1/8のギヤ歯が厚みは問題ないのに普通の1/8幅
のチェーンには歯先が先端しか入らないのです。
繰り返しになりますが幅は問題ありません。

イメージ 3

そこで、最初の画像をアップして見直してみましょう。
手前のギヤ歯と奥のギヤ歯の形状をよく見比べてみてください。
歯先だけではなく歯の根元まで手前のブロックタイプは左右に力強く
幅広いことがお分かりいただけると思います。
(これ以外にもメーカーによって若干、形状に違いはあるものの)
この向きで見た幅が広く作られている分、1/8サイズのチェーンの間隔に
おさまらなかったのです。

イメージ 4

ここで、もう一度チェーンの画像も見てみましょう。
左から5,6段時代の普通のロードチェーン、
中央はピストレーサー用のチェーン
そして一番右がブロックタイプのチェーン。
チェーン幅のサイズ表示は
左から3/32、1/8(4/32)、3/16(6/32)となります。

わかりにくいかもしれませんが左の二本のチェーンは、どこをとっても
ローラーの左右の間隔が同じに作られています。

それに比較すると一番右のブロックタイプのチェーンはピンの間隔が同じ
ではないこと以外に隙間が全然違うのがお分かりになると思います。
この幅広い部分にブロックタイプのギヤ歯が、かみ合うようにできているわけです。

イメージ 5

イメージ 6

二枚の画像でギヤ板、小ギヤがチェーンにかみ合っている様子をご確認ください。

さて、くどくどと書いてきましたが(わかりにくくてすみません)
その厚さ(左右の幅)だけではなくブロックタイプのギヤが普通のギヤから、
一つおきに歯を取り去ったものではないことが
ご理解いただけたのではないかと思います。

※つづく