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↑先日、廃業したサイクルショップさんから譲り受けた大量の工具の中にこんなスパナがありました。

ただの古ぼけたスパナ?確かにおっしゃる通りなのですがよく見ると・・・

(全体の仕上げはメッキではなく黒っぽい仕上げです)

 

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KYOTO KIKAI COLTDの文字があります。

そして左の一番端にあるマークは・・・

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↑拡大してみると〇の中に「京」の文字。

 

ここで「KYOTO KIKAI COLTD」の表記について考えてみます。

現在、工具で京都と聞けばKTCマークで知られる京都機械工具㈱を思い浮かべますよね?

ところが、いろいろ調べてみるとKYOTO KIKAI COLTDの表記の工具は現在流通している京都機械工具㈱の製造ではないようなのです。

(京都機械工具㈱と京都機械㈱紛らわしくてすみません)

KYOTO KIKAI COLTDのの表記の工具を作っていたのは京都機械㈱という会社のようです。

ウィキペディアを見てみると京都機械㈱は戦前から工具を製造、海軍に納入していた染色機械工具メーカーとのこと。

そして、1950年頃、不況により工具部門の整理縮小が行われたのだそうです。

KTCマークで知られる京都機械工具㈱は1950年に京都機械㈱を退社、独立した人たちを中心にして設立されたようです。

当時の商標は「京」の字を円形にした「工」の字で囲ったもの。工の字が二重丸に見え、「二重京丸」(二重丸京とも呼ぶ)として親しまれたといいます。

 

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↑そこで改めて先ほどのマークを見てみると「二重京丸」ではなく「一重京丸」です。
京都機械㈱の工具には「一重京丸」のマークが入っていたそうですが・・・

ただ、複雑なのはKTC京都機械工具㈱の工具も「二重京丸」から後に「一重京丸」になったようです。

では、この工具はKTC京都機械工具㈱なのか?、京都機械㈱なのか?

一説にはKTC京都機械工具㈱が製造を始めた直後から「二重京丸」とKTCの文字、両方が入っていたようなのですが今回のサンプルにはKTCマークはありませんし何より会社名の表記がKYOTO KIKAI COLTDですから、今回のサンプルは、やはり間違いなく京都機械㈱で作られたものでしょう。

先に1950年、京都機械㈱の工具部門の整理縮小が行われたと書きましたが会社自体は近年まで存続していたようですし工具部門も整理縮小ですから1950年頃に完全撤退したわけではないようです。

ということで今回のサンプルが1950年以前に作られたものかどうか断定はできませんが可能性も否定できないと私は考えています。

そういえば店主は昭和4年生まれで戦中は豊川海軍工廠で働いていたこともあったそうです。

もしかして戦前、戦中に海軍に納入されたものかも?想像は尽きません。

※文章が下手で長々と書いてしまい失礼しました。

※当方の間違いなどございましたらご教示いただければ幸いです。

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↑最後に反対側を見てみましょう。NICKELCHROMEVANADIUMの文字が入っていました。

戦中、戦後間もない時代はニッケルクロムバナジウム鋼が貴重で材質を売り物にしたかったのではという話をどこかで読んだことがあったような気がしますが・・・