コルサの毎日がヒルクライム

カテゴリ: サンツアーの話

今回、ご紹介するのはサンツアー フロントエンド キーホルダーです。見てのとおり、フロントフォークの先端に取り付けるフレーム材量のフロントエンドを利用しています。

私の記憶では・・・年代は定かではありませんが(80年代後半ぐらいか)雑誌の新商品紹介のような欄で見た記憶があります。そして、今まで現物を見たのは、これ一つ限りだったような気がします。

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↑↑、↑サンツアーと8の刻印(「8」刻印の意味については後で)があります。そして本来フォークブレイズパイプに接合される部分に穴があけられキーリングが付けられていてキーホルダーになっています。

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↑厚みもしっかりしたもので形状から見ても本物のフロントエンドを利用していることは間違いなさそうです。

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70年代のカタログを探してみると・・・この画像では見にくいのですが(同じような製品が並んでいますが)上の方には「8」下の方には「9」の刻印があります。ということで、この画像の一番上の製品に間違いなさそうです。

では「8」と「9」は何が違うのかと言うとハブシャフトの入る溝の幅を表しているのです。「8」は8ミリ幅、「9」は9ミリ幅となります。ちなみにロード用のフロントQR中空シャフトは9ミリですから「8」のタイプには入りません。

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8ミリはトラックレーサー(ピスト)の特殊なシャフト専用なのです。画像のようにシャフトのねじ部分が平らにカットされていて、その断面の形状から通称、小判型シャフトと呼ばれています。

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↑トラックレーサー(ピスト)用シャフト&ナットとキーホルダーを組み合わせてみたところ。ロード用に比べて大柄なエンドはピスト用のナットをしっかり保持するように作られています。

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↑よく観察するとカタログ画像にはない特徴が見受けられます。一番気になるのは右側にある四角の切り欠きでしょうか。これは雑誌を読んだ記憶では「ニップル回し」になるとのことでした。今回試してみると確かにスポークニップルを回すことが出来ました。

そしてほかの特徴としてはエンド左側が広く広がるようにカットされていること、そして右側の溝の下部に小さく引っかかるような形状に削られていることでしょう。これも雑誌を読んだ記憶では「栓抜き」になるとのことでした。

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↑最後に改めてカタログを見直してみます。これによると、このキーホルダーになっているのはサンツアー シュパーブのModelEP-130シリーズでフロントですからEF-152という製品がベースになっているようです。
ちなみに今回のサンプルは左側エンドですが、この製品には右側エンドもあったのでしょうか?もしお持ちの方が見えましたらコメントいただきたいものです。

ここからは私の妄想ですが・・・古い時代の日本のトラックレーサー(ピスト)にはフロント、リヤ共にハブシャフトの溝幅が8ミリと言うタイプのフレームが多かったと思います。しかし、だんだんとF9ミリ、R10ミリという溝幅のフレームが増えていったような気がします。そこで余剰となった8ミリ幅フロントエンドを少しでも活用できないかとキーホルダーとして売り出してみた。と私は考えているのですが真実はどうなのでしょうか?()

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↑もうじき、2年になりますか、店主が亡くなって店じまいしたサイクルショップさん。高校生の頃から入り浸り、とても可愛がっていただきました。(自分などは客と言うよりはレース活動を応援していただいていてスポンサーに近かった)そのショップの娘さんに店舗の片付けを依頼された際にいただいたサンツアーの看板。

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↑「オーソライズド ディーラー オブ サンツアー」
大きな看板にもかかわらず「SUNTOUR」の文字は一番下に小さくあるのみ。作られた年代はまだ調査中ですがサンツアーの文字を大きく打ち出してないところが、まだまだサンツアーの商売に余裕があった頃なのかなぁ、と考えてしまいます。

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↑↑、↑大きさをイメージしていただく為にサンツアー サイクロンGT RDを置いてみました。直径は35cm、厚さ2cmと立派な作り。重量もかなりのものです。その、しっかりした作りから、この看板を手にした(サンツアーあるいは問屋さん?から贈られた)ショップさんは、それほど多くはなかったのではないかと考えています。

60年代のサンツアーのパーツシート、今までに上段のシフトレバー小物、プーリー、そしてインナーワイヤー部分を見てきました。

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↑台紙、左下2段の様子。

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↑これはテンションスプリング、右側、ひとつだけ使用されたようです。

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↑左の最下段には3種類のパーツが並んでいます。

一番左はRDのワイヤー固定部品一式(4セット)、シフト幅調整ボルト、スプリング(7本ほど)、プーリー固定ボルト(3本)などが用意されています。

余談ですが台紙に書かれた「JASCAグループ」というのは「ジャパン スポーツ サイクル アソシエーション」の略で島野工業所(㈱)、(㈱)前田鉄工、(㈱)杉野鉄工所、吉貝機械金属(㈱)、(㈱)極東製作所など関西の自転車関連部品会社が多数、所属していたようです。

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↑ちなみにこの台紙には各部品の単価が印刷されています。

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↑アウターワイヤーは短く切られて4本長さ違いで2種類、合計5本が用意されています。

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↑↑、↑今回用意したグランプリRDは箱入りの未使用でしたが・・・ワイヤー固定ボルトがありませんでした。
(ワイヤー固定ボルトを流用された為、結局、売れ残った?)

今回の、このパーツシートのお陰で約55年ぶりに完品としてよみがえる?ことが出来そうです。

 

※「60年代 サンツアー パーツシート」終わり

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↑60年代のサンツアーのパーツシート、先日、シクロジャンブルの会場で知人からいただいたものですがいただいた時から気になったのが右下にある空き袋。
こうして見直してみても何が入っていたか気になりますよね。
最初の記事をアップした段階からsannow4713さんにも空き袋についてコメントいただいています。

また、空き袋以外にも中央に空きスペースが一か所、見受けられますが、これは左隣と同じ物が入っていたと推測されます。

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↑気になるのは、この部分ですよね。
なぜか空き袋だけで中身がない・・・中に何が入っていたのか?

sannow4713さんは

「ブラケット」、「プーリーケージ」などではと推測されていましたが・・・

実は正解がわかるのでした。それは・・・

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↑↑、↑空のビニール袋を持ち上げると台紙にパーツ名と値段が書かれていたのです。

正解はインナーワイヤーでした。
たしかに台紙にはアウターワイヤーが残っていますからインナーワイヤーがないのは不自然な気がします。
また、「後」が「后」という漢字で書かれているのが時代を感じさせます。

sannow4713さんの最終予想?は当たりでしたか?(笑)

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↑それでは上から順に見ていきましょう。
一番後ろにあるのはシフトレバーの小物、2段目はプーリーでした。
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↑この部分ですね。
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↑シフトレバー小物の袋には4種類のパーツが入っており単価が書かれています。

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↑プーリーの小物の値段です。
「プーリー外輪」の値段が「¥60」となっています。
ちなみに、うちにある1967年10月の総合部品単価表でも同じ値段になっており、
このパーツシートも60年代後半の物と考えて間違いないようです。

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↑グランプリ
RDのプーリー部分。
パーツシートと同じくプーリー用防塵キャップは黒色仕上げとなっています。

 

※つづく 


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↑先日、ご紹介した60年代のサンツアー パーツシート。
RD、WLのスペアパーツ類が揃っています。

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↑パーツシート上部に書かれている部品実物が、やっと見つかりました。

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↑描かれているRDはグランプリ。
未使用品ですがワイヤー固定ボルトが紛失しています。

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WLはグランプリ、コンペティションなど当時のサンツアーRDに組み合わせられていたもの。

ただし、画像はコンペティション ツインというリターンスプリングがなくツインワイヤー式RD専用の物。
細かい部分は若干、仕様が違います。

 

次回はパーツシートの細かいところを見ていきたいと思います。

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