コルサの毎日がヒルクライム

2011年05月

アライの特集も今回で、いったん終わり?とします。
「え~、もっと見たかった」という皆さんの声が聞こえてくるようです?(笑)

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今回は「アライのRDとSL」です。
アライのRDは最近発行された中堀 剛氏著の「私が愛した自転車パーツ」にも
紹介されているのでご存知の方も多い?でしょう。

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「私が愛した自転車パーツ」をお持ちの方はP.26を、ご覧になりながら
上の画像と比較してみてください。
基本的構造は同じですが細部には、いくつかの違いがあります。

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「私が愛した自転車パーツ」に紹介されていたのはRDだけでしたがSLもあります。
形は、この時代の標準的なデザインでレバー部分の材質はアルミ製です。
注目していただきたいのは(小さくて見にくいとは思いますが)レバー先端部分に
「Arai」の文字だけでなく「椅子の絵」が入っていることです。

これらの製品は日本自転車工業会が作成した輸出用資料?(英文)「Japan’s Bicycle Guide」の
1966年版あたりに画像がありますので、その頃の製品だという事がわかります。

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「Japan’s Bicycle Guide」を見せていただいて(残念ながら持っていない)驚いたのは
同じアライの製品で、いわゆる「タケノコ変速機」の画像も載っていることです。
このアライ タケノコRD我々(田爺さん、くさやんさん、私)の幻の一品だったのですが・・・
つい最近、某氏から画像が送られてきて実在する事が判りました。


さて、アライRDについては、あの中堀氏ですら「私が愛した自転車パーツ」の中で
「1960年代幻の変速機のひとつ」と書かれています。
これはなぜなのでしょう?
アライのブレーキは現在でもシェアはかなりの物らしく、また古い物も時々見かける事が有ります。
そのほか、今まで、ご紹介してきた「ハブ」、「ペダル」、「ステム」なども少ないとは言え
注意していれば時々?見かけるものです。
それなのにRD、SLは、まったくというほど見かけず知られていないのはなぜなのでしょうか?

ここからは私の推測(妄想と言った方が良いかも)ですが、それは正規には、
ほとんど販売されずに(少なくとも日本国内では)終わったのではないからと思うのです。
外装変速機というのは、サイクリストにとって最も興味を持つ部品といっても良いのではないかと
思います(60年代なら今とは段違いに)。
それなのに知られていないというのは実際には、ほとんど流通しなかったからだと思うのです。
それでも、いくつかの現物が見つかっています。これはなぜでしょう?
それは多分、「開発し量産試作レベルまでは行っていた」のではないかと思います。
(量産試作品かサンプルが後年、少数、一般に出回ってしまった???)
ところが、そこまで進んでいながら、なぜか販売は中止になってしまった???
(繰り返しますが、あくまで私の妄想です)

その理由は・・・国内の強力なライバルのせいではないでしょうか?
聞くところでは当時、シマノはまだ内装変速機に力を入れていたそうですがサンツアーは
外装変速機で多くの製品を、すでに販売していたそうです。
60年台という時代背景を考えるとサンツアーのスキッターあたりは廉価版外装変速機として
強力なライバルだったと思われます。
実際、1980年代後半くらいまでは駐輪場でスキッターを付けた古い自転車を、まだ良く見かけました。
これはスキッターが自転車メーカーに多く採用され使用されたことの証明でしょう。
「サンツアーの傑作、スキッターがアライの変速機の販売(その後の開発)を踏みとどまらせた・・・」
これが「私の妄想」の結論です。

※(今回のサンプルは田爺さんのコレクションです。)

前回は「くさやんさん」のコレクションからでしたが、
今回は「田爺さん」のコレクション+私のコレクションです。

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前回はドロップハンドル用のブレーキレバーでしたが、今回はフラットバー用。
もしかしたらフラットバーというよりは一般車向けのハンドル用といったほうが良いのかもしれません。
今回の4点は古い為なのか、比較的新しいものの生産コストが安価なタイプということなのか、
すべてスチール製のものです。
いずれにしても現段階では年代を推測する資料はありません。

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まずは、この2点から。
一見、同じ物で1セットのように見えますが、良く見るとレバー先端の曲がり具合が違いますね。

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なぜか刻印の「向き」も違います(笑)
最近、販売されるようになった「ダイアコンペのギドネットグレーキレバー」に形状が良く似ています。
多分、両者とも、ほぼ同じ構造なのだろうと思います。(未確認)

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今度は、こちら。
今度の二つはレバーの曲がり具合も一緒のようです。
ではどこが違うのか・・・

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片側には、何やら小さなレバーが付いていますよ。

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このような機構が組み込まれています。
これが、何をするものか、お判りになりますか?
これ、実は駐車ブレーキ用レバーなのです。
3輪自転車などが坂道などで動き出すのを防ぐ為の駐車ブレーキが組み込まれたレバーだったのですね。

通常のブレーキレバーを握りながら小レバーを押さえると駐車ブレーキが作動します。
駐車ブレーキと言っていますが、もちろん、専用ブレーキ本体が別にあるのではなく
作動させるブレーキ本体は通常の物です。

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画像を良く見ていただくとお判りになるかと思いますが駐車ブレーキ用レバーには
小さなリターンスプリングが組み込まれています。
その為、駐車ブレーキが効いた状態で通常のブレーキレバーを握ると駐車ブレーキ用レバーは
自動的に解除され戻るようになっているのです。

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2枚目の画像のブレーキレバーと違って、こちらのタイプのブレーキレバーは、
こんなところに刻印が入っています。
ところが画像のように刻印のないものもあります。
(ここに刻印がないタイプで同形状のブレーキレバーの中には、どこにも刻印のないものもあります)

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駐車ブレーキ用レバーを見てみると上記の位置には刻印が入っていませんでした。
まったく、刻印がないのかと思ったら、このレバーにしっかり、刻印が入っていたのでした。

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さて、今度は「田爺さん」のブレーキ本体を見てみることにしましょう。
前回の「くさやんさん」のブレーキ本体と同じような作りの鉄の本体です。
ただ、良く似ていますが細部には違いがあります。

アウター受け、ワイヤーアジャスターの材質、そして、その周辺の形状などに違いがあります。
今回の田爺さんのサンプルの方がコストダウンが進められているようなので時代的に、
やや新しい物かもしれません。

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作りだけでなく、刻印の位置も違います。こちらには「ARAi」と文字が刻印されています。

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アライのブレーキ本体が入っていた袋には、こんな印刷がされていました。

※アライのブレーキ終わり。

今回も「くさやんさん」のコレクションから。

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まずはドロップハンドル用のブレーキレバー。
アルミ製のブレーキレバーで形も、ごく普通の物です。
(ダイアコンペと比べると少しぼってりとしている?)

「例の赤いアライステッカー」貼られていますね。
よく見るとステッカーが貼られている部分が「バッチ風?」になっています。
実は、この部分に機能上の理由があります。それは・・・

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この画像(くさやんさん撮影)を見ていただくと赤いステッカーの貼られた部分が
実はワイヤーニップル受けになっている事がわかります。
外見上は良く似ているダイアコンペなどとは少し違った構造になっていたのです。

ついでに右横のワイヤーに注目してください。
アウターストッパー小物が赤く着色されていますね。
また、ドロップハンドル用ブレーキレバーなのに、いわゆるタイコ型ワイヤーニップル
なのが面白いですね。

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アライに限らず、この頃(1970年代前期頃まで?)のブレーキレバーに時々見られるのが、この刻印。
「F」、「R」
フロント用、リヤ用ということでしょうか?
だとしても、わざわざ、ここまでする必要はないと思うのですが。
もしかしたらアメリカ輸出用?として必要だったのでしょうか?

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くさやんさんが先のブレーキレバーとセットとして保管しているのは、
このサイドプルブレーキ本体です。
材質はスチールで、どう見ても一般車用で、たいした品質の物ではありません。
せめてアルミ製だったら・・・

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よく見るとアライを表す「A」の文字も入っています。
JISナンバー6546に続く数字「-4 05」は何を表しているのでしょう?
もしかして製造年月日?そうだとしたら64年製?74年製?

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今のところ、くさやんさん、田爺さんともスチール製のサイドプルだけで
他の形式のブレーキの実物は入手出来ていないようです。

ところが大阪のサイクルショップ、トモダさんの古いカタログを見てみると
センタープルブレーキセット(と単品)が小さな写真で載っています。
(画像はトモダさんのカタログを撮影、拡大した物)

ブレーキレバーは、はじめに紹介した、くさやんさんのブレーキレバーと同じもののようです。
また、チドリ、前後アウター受けも用意されていたようです。

アウターストッパー小物が黒っぽく見えています。
これはアルミ色だったのではなく少なくとも着色されていることを証明する物だと思います。
もしかしたら、先の、くさやんさんのサンプルと同様、赤く着色されているのかもしれません。

さて、やっと本体の方ですが(笑)
どうやら画像の作りから想像する限りアルミ製のように見えます。
この形状で材質がアルミなら、かなり趣味性が上がってくる製品?と思われます(笑)
これは、ぜひお二人に探し出してほしいものです。

※ブレーキ編 つづく。

アライ特集、今回はステムです。
今回もサンプル提供は・・・もちろん「田爺さん」、「くさやんさん」です。

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アルミ製ですが鋳造製のようで、それほど高品質の物ではありません。
サイドには「Arai」の文字が入っています。
突き出しが極端に長い、これは国内向けの一般車用とは考えられませんので輸出用でしょうか?
※画像のハンドルはアライ製のものではありません。
 アライ製のハンドルは、まだ未確認です。お持ちの方は、ぜひ、ご連絡ください。

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ハンドル固定ボルトにはハブなどにも貼られている赤いステッカーがちゃんと貼られています。

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突き出しの短い、一般車用と思われるアライも確認されています。
左は言うまでもなくミニサイクルなどの車種用でしょう。

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突き出し寸法は、ほぼ一緒の、この2本。
デザインが微妙に違うほか、サイドの文字が違います。
右には「Arai」の文字が入っていますが左のモデルは「mini」の文字になっています。

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片方はアライのステッカーがはがれてしまっています。
この向きからも二つを比べると微妙にデザインが違う所があるのがわかります。

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ポスト部には、こんな文字が入っているモデルもあります。
アライを表す「A」、製造年月日でしょうか「0.7」の文字、
そして「このせん以上に入れて下さい」と書かれていました。

次回はアライのブレーキを取り上げてみたいと思います。

さあ、いよいよアライのペダルは最終回とします。
今回のコレクションは・・・田爺さん、ならではの物がほとんどです。
まあ、普通のサイクリストが集める範囲の物からは少々(かなり?)逸脱している類です(笑)

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一番左が一番古そうですね。(キャップ、ナットなど欠品あり)
左から2番目と中央の物は「ゴムの色違い」のようです。
右から2番目は白いゴムに赤いラインと、かなりお洒落な?モデルです。
巾も左のモデル達と比べると広くなっています。
右端は時代が少し新しくなってきたのかリフレクターが組み込まれています。

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キャップのバリエーション。
一番新しそうな左端(リフレクター付き)には「ARAI JAPAN」の刻印があります。
またナットもフランジ付きの物が使われています。

右の二つは形状は同じ物のように見えますがメッキの仕上げが違います。
(右端はツヤがあまりない)


いずれ運搬車などの所有、レストアなども考えていらっしゃる田爺さんとしては実用車用の、
この手のペダルも当然、ストックしておかなければならないところなのですね。

さて、はじめに書いたとおり、さすがにペダルネタは今回で終了です。
(軽合金Ⅰ型に続くⅡ型などが発見されれば、また、その時に)

次回はアライの何を取上げましょうか?(笑)

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