コルサの毎日がヒルクライム

カテゴリ: レストア

29日は朝から雨でトレーニングに行けませんでした。
そこで友人から売却以来で預かっている部品を調べていると・・・
程度の良い初代デュラエースのブレーキ本体が目に留まりました。

売却以来でネットオークションに出品予定でしたが自分が買取することに()

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↑となれば分解掃除、サビ取り作業にグリスアップ!!

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↑念の為?、片方ずつ分解整備していきます。

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↑分解していると違和感が・・・どうやらセンターボルトの薄ナットがなめている様子。

もう1セット、サビ傷だらけのジャンク品があったので、そちらから薄ナットを移植。

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↑余談ながらブレーキの整備にはパークツールのこれらのスパナが大変便利。薄いスパナが10、11、12、13、14ミリとそろっています。
画像の真ん中、左側はサイドプルのスプリングの丸めた部分に引っ掛けておいてセンターを出してセットする為の物。

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↑落車の影響かクイックレバー部分が大きく曲がっていましたが、曲がっていたのがどちらかわからないくらいに綺麗に修正完了。
うまく治りましたが、その分、修正前の画像を撮り忘れていたのが残念(笑)

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↑サビ取り、グリスアップを終えて、こんなに綺麗になりました。

ダコルディ(伊)50周年記念フレーム、以前も書いたように1987年に販売されたものですがオーナーは年代相応の部品に特にこだわりはありません。とにかくトレーニングに走る為(でもカッコよく?)そしてコストを掛けないようにレース、トレーニングに使っていた中古のシマノ部品を中心に組み上げていきます。

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↑シマノ部品を中心に・・・と書いたところですがヘッド小物はカンパ コルサレコードが新車からついていました。ただし、点検すると、しっかり乗り込んだこのフレームですからゴリゴリです。それも、交換するかギリギリの感触。ただし、コストを掛けないようにというオーナーの希望もあり迷いに迷ったすえ手を入れて延命治療します。

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↑古いグリスを落としてみると、やはり・・・玉押し、玉受けにベアリングの打痕があります。これはハブやBBのようにベアリングが「ぐるぐる回るところではない」ヘッドパーツにはよくあるトラブル。ベアリングと玉押し、玉受けの当たる位置を少しづつずらしてフレームにセットすることでなんとか気にならないレベルにすることが出来ました。

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↑今回使うのは9速コンポ。何種類か持ち込まれたスプロケットの中で選んだものをクリーニングしていきます。

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↑チェーンは摩耗限界を超えているかも・・・まあ、トレーニング用車だから素早いチェンジではなくても大丈夫ということで洗浄して再利用。

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↑ギヤ板はアルマイト加工の剥がれが発生しているものの歯先の摩耗は大丈夫、まだまだ使えるのでクリーニング。

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↑ハブは高精度ベアリングに入れ替えてグリスアップ。

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↑ブレーキゴムは偏摩耗しているし金属片が食い込んでいます。

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↑ブレーキゴムに食い込んでいる金属片(リムのアルミなど)を、ちまちま取り除いて・・・

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↑ブレーキゴムの偏摩耗を削って全体に整えながら当たり面の古い部分を削り落とします。表面の硬化した部分を削り落とすことで少しは効きが改善されることを願います。

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↑修正したブレーキゴムに各部をグリスアップしたブレーキ本体。

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↑で、いきなり完成状態。オーナーが引き取りに来たのが夜だったので屋外で撮影できず、ガレージの中で。背景がうるさくて見にくくてすみません。サドルは仮付け状態、バーテープ、フレームカラーに合わせて?この後、黒色に交換したとのこと。もう少し手を入れたいところもあったけどコストとの兼ね合いもあって()まあ、オーナーが喜んでくれたので良しとしましょう。

フロントフォークとリヤエンドのRDブラケットの問題を解決。BBスレッドを修正して画像がなかったので前回、記事には書かなかったけど、その他シートチューブのシートピラー挿入部の修正などを済ませました。

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↑50周年記念バッジがみすぼらしくなっていたので少し手を入れることにします。

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↑「50」の文字、磨きにくいけど手を入れて少しは光りました。ペイントは・・・先に言い訳をすれば良い筆が手元になかったので()それでもペイントを入れたことで前よりはキレイになったかな?()

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↑メッキ全体にサビが出ていました。オーナーは事前に自分で磨いてみたようですが、ここまでのサビだとうまく落ちなかったようです。

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↑私が右だけ秘密の方法?で磨いたところ(そんな大げさな技ではないけど)。画像は下手ですが左に比べて少しはキレイになったのが、お分かりいただけると思います。

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↑チェーンステーのメッキもこんな感じ。

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↑↑、↑チェーンステー右側のサビを磨く前と磨いた後。

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↑ヘッドラグにも錆が出ていますがこの後、手を入れてオーナーに喜んでいただけるレベルまできれいになりました。(残念ながら磨いた画像はとり忘れました)()

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↑リヤブレーキワイヤーの内臓パイプ内部にもサビが発生しているようでした。ここは内部にCRCを吹き込んでおいてから不要のワイヤーを何度も通してクリーニングしておきました。

そのあとはペイントがはがれている部分をタッチアップして極細目のコンパウンドでペイント全体を磨きました。若干、塗装の輝きも増した・・・気がする()

 

※さて次回はパーツのクリーニング。中古車から外した部品を組み付けるので大変です。

さて、預かったダコルディのフレームの各部を点検していくと・・・大変な問題があることに気が付きました。

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↑↑、↑それはフロントフォークの変形(曲がり)です。画像はフロントフォークエンドに精度確認、修正工具を当ててみたところ。本来は左右の工具の位置が一緒で隙間が並行でなくてはいけません。ところが、このフォークは右のフォークが大きく後退するように曲がっていることがわかります。ここまでになると私には直せないので友人のフレームビルダーに相談してみることに。果たして治るでしょうか?

後輩に聞いてみるとトレーニングで路肩に突っ込んだことがあるとのこと。それが原因だったのでしょう。しかし、その事故後も使っていたそうですが、ちゃんと、まっすぐ走ったのでしょうか?()

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↑フレームビルダーさんが、ちゃんと直してくれました。左右がそろい隙間も並行が出ています。一見、曲がりが無いように見えた左のフォークですらオフセット寸法が39ミリ程度だったようですから大きく曲がっていたことがわかります(通常のロードレーサーのオフセットは45ミリ前後に設定されています)ビルダーさんは左右フォークの曲がりを修正しオフセットを44ミリ程度に設定してくださったそうです。

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↑リヤエンド。画像は古いアジャストネジを取り去ったところ。リヤエンドはロードエンドでホイール位置を調整するアジャストネジがサビたり曲がったりしていましたので何とか抜き取りネジ穴を修正、ネジを交換します。

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↑今度はリヤのエンドの精度を確認してみましょう。

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↑リヤは特に修正しなくてもエンドの精度にほとんど問題はありませんでした。ロードエンドのハブ位置をアジャストするネジを入れホイール位置がぴったりくるところにセッティングしていきます。

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↑リヤエンドの精度が確認できたのでRDブラケットの精度を確認します。画像は背景がうるさくて見にくいとは思いますがパークツールの工具を使いRDブラケットの精度を確認します。ここは転倒してRDをぶつけると曲がりやすいので・・・やっぱり内側に曲がっていました。

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↑↑、↑リムの側面を基本に上下で精度を確認しているところ(前は測定しにくいので実際は上下+後3点で測定)で確認しているところ。RDブラケットも修正できました。

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BBのネジはサビが出ていましたし硬かったのでタップを通しておきます。イタリアのフレームですから、スレッドは、もちろんイタリアンです。

 

フレームの修正が終わったので、いよいよメッキのサビ落とし塗装のキズのタッチアップ、コンパウンド磨きに入ります。

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↑今回、クリーニング、カスタムの依頼を受けたのはイタリアのダコルディというフレーム。ダコルディ社は日本ではあまり知られていませんがイタリアでは結構な規模の会社のようです。今回のフレームはダコルディ社の50周年記念に販売されたモデル。調べてみるとダコルディ社の歴史は長く1937年創業とのこと。ということは1987年~に販売されたということになります。

このフレーム、実は行きつけのショップさんに当時、吊るされていたのを見ています。カッコいいフレームだなぁ、と当時から思っていましたが私にはサイズが、わずかに小さかったので購入の選択肢には入りませんでした()

そして、結局、このフレームはチームの後輩が購入しました。後輩は、もと国体選手で趣味性の高い、このフレームをトレーニングからレースまでガンガン乗っていたのを覚えています。

その後輩も、時代の流れでカーボンのフレームに乗り換え、このフレームのことは、すっかり忘れていたのですが今年になって、また乗りたいと相談を受けました。1987年のフレームですから当時のカンパ コルサレコードなどで組めば素晴らしいヴィンテージレーサーになると思いましたが後輩に、そういった趣味はなく「あくまでトレーニングの一環として乗りたい」(後輩は今もピストレースに参戦している)、「時代考証は無視して手持ちの部品で組んでほしい」ということでした。その為、彼がかつて乗っていたカーボンフレームの9速時代のシマノを中心に組み付けることにしました。

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↑ヘッドのステッカーには「DACCORDI」、「50ANNI」などの文字があります。

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↑ヘッドラグはシンプルなカットで丁寧な仕上げ。メッキされています(撮影時は少しサビ落としをした後)。メッキと言えば一番最初の画像のように各部にメッキが施されており記念フレームらしく特別感を盛り上げていますが、長年の使用と手入れが悪くサビの発生があります。これが綺麗に補修できるか・・・。そしてトップチューブにも50周年のステッカー。

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↑シートラグの前方には50周年記念のバッジ(ここだけはステッカーではなかった)、シートステーのフタにも「50」の文字。パイプはコロンバスのSLXが使われているようです。

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↑フォーククラウン?はエアロタイプで(肩の張りのない超なで肩?)、ここにも「50」の文字が刻印されています。本来、金色のペイントが入っていたようですがサビが出ていたので私がサビ取りの後、サビが目立たないように黒いペイントを入れています(かなりヘタクソ。この後、若干は修正したけど)

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↑シートステーブリッジのブレーキ取り付け部分に「50」の文字。メッキ部分にかなりサビが発生していることがわかると思います。

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BBラグの左側には「DACCORDI」の文字があり手前の右側にはシリアルナンバーらしき数字がありました。「10×」の文字がありますが(あえて一文字は消しています)、この50周年記念モデルが何本製作販売されたかはわかりません。このフレームのナンバーから見て100本以上作られたのは間違いないと思うのですが。

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↑ピンボケですみません。BB下には三本のスリットが切られていました。FDのワイヤーリード周辺はワイヤーで擦られて溝状になっています。酷使されてことがわかりますね。

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↑リヤブレーキのワイヤーはトップチューブに内蔵されています。この工作からも記念フレームらしく凝った作りのフレームだということがわかります。

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↑カンパのショートロードエンド。画像はサビついたホイール位置を決めるネジを苦労して取り去ったところ。ボルトはダメになったけど何とかフレーム側のネジは活かすことが出来たのは幸いでした。

 

さて、この後、メッキ部分のサビを落としてペイント部分のキズをタッチアップ(傷の補修)、コンパウンドで磨いて仕上げていきますが・・・その前に重大な問題が発覚!!

 

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